天気 | 体調 | 気分 | 出費 |
---|---|---|---|
曇→雨→晴 | 普通 | 恐ぇー | \2500 |
出発地 | 終着地 | 走行距離 | 走行距離(合計) |
道の駅いわない | 道の駅あっさぶ | 267km | 17728km |
今日は7時前に起きる。
昨日寝不足で早く寝たからか、わりかしいい朝を迎えられる。
しかもここ岩内はあまり寒くはならず、やはり場所によって北海道も気温の差が激しいんだなと実感。
朝の用意をすませ出発しようとしたら、昨夜から隣で車中泊をしていた人に話かけられる。
するとさっそく「イモ食うか!?イモ!?」と茹でたジャガイモを頂く。
あまりにも食べて欲しそうだったので僕はてっきり利尻でも食べた(言ったっけ?)あのめちゃくちゃ甘いスイートポテトみたいなジャガイモなんかな!?と思って食べたが、まぁ普通のジャガイモだった。
なぜこの普通のイモを、そんな一生懸命食べさせたかったのは分からない。
神戸からきたというなぜか広島ナンバーのその人は大きなヨットを車につんでいた。
8月の半ばからきて今日小樽港から帰るらしい。
たまーにこーいったかんじで話かけらりたりするのだが、皆最近は「もう帰る」という人が多い。
そろそろ北海道は気ままに旅するのはきつくなってきた。
なんだがそれはそれで寂しい。
だけど実は僕もその一人。
もうすぐ北海道を出る。
おじさんジャガイモありがとー!!
ちょっと野暮用があり黒松内町に行く。
そこに行くまでにR229の海岸線沿いはトンネルだらけ。
しかもトンネルもみんなけっこう数キロとか長いから、これほんと抜けられるんだろうな!?と心配になる。
ひとつあまりにも長いので、これ抜けたら北海道抜けて青森に出ちゃうんじゃないか心配になった。
青森は言い過ぎだろー!?と思ったあなた。
なんなら走ってみてください。
ホントにみんな長いから。
でも青森は言い過ぎたっす。ちっす。
黒松内のある場所に行きたくて、役場で聞いてみたら、分かりずらい場所だからというので職員の人が車で先導してくれた。
なんていい人なんだ。やっぱ田舎は最高だね。
野暮用も済ませ、出発しようと思ったら、雨が降ってきた。
今日は晴れていたのは朝起きて1時間くらいで、そこからドンドン真っ黒の雲が空を覆ってきて、今では雷が鳴っている。
なんだかほんとこの間の台風から大気が不安定なのか、変わりやすい天気が毎日続く。
晴れていてもすぐ雨降ってきたりとホントに勘弁してほしい。
雨が強くなってきたので、途中にあった「みなとま〜れ寿都」という道の駅でカップラーメン休憩。
そしたらおばさん二人組に話しかけられた。
どーやらそのうちの一人が栃木出身のかたみたいで、僕が栃木出身っていうのと日本一周しているってことをすごい興味津々に聞いてくる。
「旅をして変わった!?」
「得るものはあった!?」
「今後の人生についてどう思う!?」
と、あまり聞かれないような深い話までその人は聞いてくる。
ここまでしっかり誰かに聞かれたことなんてなかった気がするなー。
と、思いながらも、その人がすごく聞き上手なのか、ついつい僕もいつもより喋ってしまった。
そしたら「あら、もうこんな時間!?行かないと。」と言いその場を去ろうとする。ちょっぴり残念な僕。
「じゃこれからもよい旅を。あっ、暇なときこれ読んでね。」と本を渡された。
なになに!?と見てみると・・・。
えーっと・・・。どーすれば幸せになれるかというのが書かれていた・・・。
どーりでもの凄く深いことを聞いてくるわけだ。
だけど凄く物腰柔らかく、話やすいというか、もっと色々話したいという気持ちになった。
・・・やっぱり上手いな。
だけどその人は本当に栃木というのが懐かしくて僕に話しかけてきてくれたかんじですごくいい人だった。
やはり同郷というのは理由なんかナシで分かち合えるものがある。
昼を食べているうちにすっかり雷雲はどっか行ってしまい、また晴れてきた。
昼飯も食べ少し休憩も出来たし、よし、行こう!!
まずR229を北上して弁慶岬に向かう。
ここで弁慶は義経がくるのを待っていたという伝説があるみたいだ。
そのままR229を走っていると「よってけ!島牧」という道の駅を発見。
とその命令系にイラつきながらも、結局寄ってみる。
さっきの「みなとま〜れ寿都」もそうだが、ここらへんの道の駅はどーしても旅人の足を止めたいようだ。
が、店内に入ろうとすると「本日定休日」の張り紙が・・・。
ふざけんなこのヤロー!!
そのあと0円マップを見ていたら近くに「ドラゴンウォーター」という炭酸水が湧き出ている場所があり面白そうなので行ってみることに。
クネクネした細い山道を約8キロばかりひたすら登る。
途中でっかいエゾシカに遭遇するが、車を見るやすぐに逃げて行った。
ここらのシカは知床と違って人間慣れしていないみたいだ。
そして近くにきたら何かと「ヒグマに注意」と看板が。
実はあんないっぱいいると言われている知床でも結局見なかったからか、正直僕はヒグマなんていないんじゃないかと思い始めてきたのだ。
必ずヒグマ注意の横にはゴミを捨てるとヒグマが人間の食べ物のおいしさを知って、頻繁に出没するみたいだから「ゴミ捨て禁止」と書かれている。
僕はこれはただたんにゴミ捨てさせないようにヒグマの名前を使っているだけではないのかと思う。
こー言われれば誰も捨てないだろうから。
そしてその湧き出る場所に着いたのだが、おーたしかにシュワシュワなっている。
だけどシュワシュワなっているのは向こう岸の近くみたいだ。
そこまで広い川ではないんだが、ここ最近の雨で水かさが増しているのか結構渡るにはきついかんじ。
だけどここまできて汲めないのは嫌なので、裸足になって足を水に入れてみると・・・。
絶対だめだ!!超冷てー!!
足の感覚ないし、足場は悪いしで、こりゃ無理だ。
かくなる上は危険だが、大きめな石に飛びつきながら行くしかない。
すごく難しいというわけではないのだが、水かさが増して危ないのと、コケで滑るっていうのが恐いぞ。
でもどーにか苦労しながらちょっとだけ水を汲めた。あれ一歩間違えば川に真っ逆さまで落ちるような水汲みかたしてたな。危ない危ない。
そして車に戻り、ペットボトルの中を見てみる。
見てみる。
見てみる。
・・・。
なぜシュワシュワしてないか僕には分からなかったが、ひとつだけ分かったのは、もう2度とあんな苦労して水を汲みたくないということだ。
だけど何故!?一瞬で炭酸抜けた!?
その後僕は帰ろうとしたが、なにやらすぐ近くに賀老の滝っていうのがあるみたいで見に行ってみる。
そしてその滝を見に行くための遊歩道の入口にも「ヒグマ注意」の看板が。
んなもんいねーつーの!!と言いながら山の中に入る。
少し歩くとつり橋が現れた!!
このつり橋がなんとも綺麗だったのだ。
あたり一面は紅葉まっ盛りで、山は真っ黄色。
そこにポツンと真っ赤なつり橋が架かっていて、この黄色の紅葉と真っ赤なつり橋がなんともよかった。
そして気付けば約1時間くらい僕はその端の上でボーっとしていた。
なんでだろう。別に何考えていたとかじゃなく、ただ写真撮ったりボーっとしていたりしたんだ。
気付けばもう日の入りの時間。
ここはかなりの山の中だから徐々に薄暗くなってきた。
まずい、早く滝を見なければと思い橋を渡る。
実はすぐ近くにあるものだと思っていたが、そっからまた山の中を歩くみたいだ。
薄暗くなって嫌だなーと思った次の瞬間・・・。
・・・。
僕の体の細胞という細胞全ての動きが止まった。
数メートル先の茂みから明らかに枯葉が落ちたとか自然に出てしまった音ではない音がした。
姿、形は分からないが正直何かがいる・・・。
なんていうんだろう。分かるのだ。生き物の気配がする・・・。
車は一切すれ違ってないし、駐車場にもなかったので、この山にいるのは今は僕だけなので人ではないことは確かだ。
ということはエゾ鹿か!?
そうかエゾ鹿か。さっきも見たしな。
で、でも、もしや・・・。
その瞬間あのひつこいまでに書いてあった看板を思い出してしまった・・・。
・・・。
だ、だけど前も言ったが僕にはあの殺人パンチがある。
ヒグマをも倒す殺人パンチ。
それでも不満か!?
自分に問いただす。
ち、ちょっぴり不満だ・・・。
なんていうか殺人パンチだけではなく、ちょっとした何かが欲しい。そう、武器が欲しい。
そのとき僕は思い出した。
ま、まてよ。今日はたまたまバックを持ってきていて、そのなかに三脚があったはずだ!!
三脚は金属だし、伸び縮みもするし警棒みたいで、かなりの武器になるのでは。
三脚さえあればまさに鬼に金棒だ!!
と、恐る恐るバッグに手を入れる。
手を入れる。
手をまさぐる。
手をまさぐる。
手を出す。
どーやらさっき弁慶岬に行った時に使って、バッグに入れずに車の中にポイッとしてしまったらしいのだ。
なにやってんだ、数時間前のオレ!!
な、なにか他にないのか!?
出来れば硬いやつ。硬い棒みたいのは・・・。
そしてバッグに手を入れまさぐると・・・
・・・。
し、しかし侮るなかれ、このタオルはあの礼文島ユースホステル桃岩荘の特別タオルなのだ!!
だからなんだと思っただろう。
その通りだ。だからなんだ桃岩荘、このヤロー!!
し、しかしこのタオルにはとっておきの秘密がある。
実はこのタオル、今までみんなに内緒にしていたが・・・。
なんとあの・・・。
めっちゃいいかほり。
「香り長続きジェル」だぞ!!
しかもこれだけではない。
この商品のうたい文句にもなっている「輝く白さ。驚きの柔らかさ。」
そう、なんと・・・。
つまりこのタオルは「ふっかふか」だ。
なんて優しい肌ざわり。
触った瞬間幸せを感じる。
よしっ、これならヒグマも!!
・・・。
これならヒグマも・・・!?
・・・。
ダメじゃん、こんな柔らかいんじゃ。赤子の肌を包む柔らかさだ。
こんなふわふわじゃヒグマに致命傷を与えることができない。
まさかお気に入りの洗剤が裏目にでるとは・・・。
せめて柔軟剤が入ってないやつにすればよかった。
そうすればゴワゴワタオルで傷一つくらいつけられたかもしれない。
ほ、ほかになにかないのか!?
そう思いバッグのなかを手を入れる。
手を入れる。
手を入れる。
・・・。
よ、よし・・・。わかった・・・。
つまりこーいうことだ・・・。
無事駐車場に着いた。
さっきの音はなんだったか分からなかったが、生き物だったというのは確実にわかった。
正直滝を見にきたわけではないので見れなくても気にしない。
自分の身を守るのが先決だ。
あーまじで恐かった・・・。
その後けっこう暗くなったが予定の道の駅に到着。
・・・。
なんか嫌な気がする・・・。
以前も言ったことあるかもしれないが、虫の知らせというか、野生の勘というか、こーやって長いこと旅をしていると、ここはやめておいたほうがいいかもしれない。と思うときがたまにある。
前誰と話したか忘れたけど、まったく同じことを言っていた人もいた。
やっぱみんなそうなんだ。
僕の場合、なにがダメっていうのはないんだけど、なんか嫌な予感がするときがある。
そんときは素直にその「直感」に従い寝場所を変える。
変えたからといって正解だというのではないんだろうし、変えなかったからと言って絶対なにか起きたということではないんだろうけど、今のところその直感を信じてまぁ危険な目には会っていないので、変えて正解だったのではないかと思う。
そして次の道の駅につくが、どーやらここなら眠れそうだ。
だけどこのトイレ夜中に入るとけっこうビビる。
静かな中いきなり、スピーカーから大音量で女の人の声で「トイレを綺麗に使いましょう」と言われる。
入ってきた人みんな「おぉっ!?」と驚いていた(笑)
けどあの山の中の得体の知れぬ生物は恐かったなー。
だけどホントあれ以上進まなくてよかった気がする。
これもある意味、寝場所選びと同じで野生の勘が当たったのではないだろうか。
この野生の勘が使えるようになった。イコール、どーやら本当に僕も「旅人」に近づいているのではないだろうか。
そのとき横に一台の車が停まる。
わざと漏らせているのではないだろうかと思うくらいの、あの重低音。
そして車の中から若者4人が降りて騒ぎはじめた・・・。
ど、どーやら僕はまだまだ「旅人」にはなれないらしい・・・。
なにが野生の勘だ・・・。エラソーに・・・。
ね、眠れねぇー・・・。